私の住むブラジルの隣国:『アルゼンチン🇦🇷』
会社がアルゼンチンにもある為、ちょくちょく足を伸ばす事があるのだが、同じラテン国家ながら(恐らく同じイタリアからの移民が非常に多い国だと思うが)
...国民性も文化も「...全然、違う...」。
それだけに毎回、出張や旅行で行く度に、目新しいものを見つけてしまい、興味が尽きない...。
そんな中でも【アルゼンチン・タンゴ】はマジに特徴的で、興味深い。
首都:ブエノスイアレスの街中には「タンゴが溢れ」、彼らの生活や文化に「タンゴが根付いている」と言っても過言ではない...
私のいるブラジルといえば、サンバでもボサノバ、セルタネージョ(カントリーみたいもん)でも比較的ライトで明るく、楽しい感じなのだが(「ショーロ」というジャンルもあるがメインではない)「タンゴ(の音楽)」は...ともかく暗い...踊りは情熱的で素敵だが、音楽が...暗く、もの寂しい...
長期に渡るアルゼンチンの経済不況(...多分、経済破綻・デフォルトを繰り返し続けて、恐らくもう2−30年経つのではないか...はたから見ると政府が無茶苦茶で国民が気の毒すぎる...まあ、それを選んでいるのは国民ではあるが...)のせいか、
街全体の老朽化が進み(公共事業に掛ける資金がない)、国民もいつも眉間にしわを寄せている人が多い...イライラが募っているせいか、車に乗っていてもクラクション鳴らしまくりで、喧嘩がところどころで勃発するこの国...まあ、国の背景や歴史を知れば知るほど、タンゴの退廃的な雰囲気に飲み込まれて行く...
「タンゴ」のオリジナルはヨーロッパのイベリア半島らしいが(wiki)、
アルゼンチン・タンゴとして生まれたのは、大昔この国がバブルに湧いた時期のブエノスアイレスなんだそう。
その頃、ブエノスアイレスは国際貿易港としてかなり栄え、穀物/肉の輸出国としても栄え、仕事も山のようにあり、ヨーロッパの貧しい国や地方からすごい数の出稼ぎや移民が渡ってきた時代があったらしい(要は「母を尋ねて三千里」マルコの時代やね)。その中で色々な文化やダンスが融合して出来上がったものと言われているんだとか。
どうやら自分が知っているタンゴはヨーロッパからの「コンチネンタル・タンゴ(スイング風)」というものだったらしい(バックバンドつき、少しクラシックっぽく、場合によっては指揮者・バイオリン・ドラムを入れる感じのやつ)。
アルゼンチンのオリジナルタンゴは、少々接触が濃厚過ぎていた事から、ヨーロッパに流れていった後、「洗練・上品」という味が加わり、20世紀初頭以降 欧州で発展していったとか(wiki)
実際にここアルゼンチンの本場で見る「アルゼンチン・タンゴ」は、やはりもともと私らがイメージしていたコンチネンタル・タンゴとはだいぶん違い、動きが早く、無茶激しく、官能的。
で、このアルゼンチン・タンゴが生まれたのは、首都:ブエノスアイレスの更に(今でも治安があまりよろしくない)ボカ地区と言われる港町。
マラドーナの所属したボカジュニアーズのスタジアムもここにある。
当時も今もここボカ地区は貧しい人たちが方を寄せ合う殺伐とした港町。この地区の労働者や娼婦たちのたむろする酒場ギターを伴奏に踊られていたのがタンゴなんだとか...
アルゼンチン・タンゴに 「やるせなさ感や悲壮感」を感じるのは、このような場所で生まれたものだからか...
歴史的に、その後、1800年代後半ごろからブエノスアイレスで開花、1920年代以降ヨーロッパでも大流行し、その変遷の中、ヨーロッパ独自のコンチネンタル・タンゴも生まれ、1930年代が最盛期だった模様。1950年代ごろにはアルゼンチンタンゴは一旦衰退しかけ、その後復活...(恐らく国が栄え裕福になった時期は廃れ、国の経済が破綻状態になると、またこのやるせな感が漂うタンゴが流行り出すのか...)
タンゴはアルゼンチンだけでなく、ラ・プラタ川を越えた隣国:ウルグアイ🇺🇾のモンテビデオにもアルゼンチンタンゴに似たものがある(こちらは正当なタンゴにおチャラけ感が少し入ったもの...)。
※またスペイン🇪🇸で踊られる『フラメンコ💃』と、私は良く間違えてしまうのだが、フラメンコはスペイン南部アンダルシア地方が発祥。出生は同じだと思っていたが、その発展の過程は直接には関係もないらしい...偶然にもタンゴもフラメンコも19世紀後半同じ時期に生まれたと言う事だけ...
でも本当に、このアルゼンチン・タンゴは女性も男性も、マジにかっこいい...
男性は、カッチリと正装、アメリカンギャングの様なハット...そして女性は常に「高いピンヒール」を必ず履いて踊る。よくつまずかないものだと感心するが...それだけ日頃の鍛錬が凄いのであろう...聞くところによると相手を変えると踊れなくなるので、長期に渡り同じパートナーと踊る必要なんだとか。
相当、奥が深そう。そのせいか総じて年配の女性の踊り子が多い気も...
ダンス前は、リラックスして笑顔でおしゃべりに興じる踊り子たちも、一旦、音楽が始まると、急にシャキッと、綺麗なフォームで、決まった形を、ミスなく高性能な精密機械の様に優美に、真剣に踊り尽くすところが本当に印象深い〜💛
「スピード感」もあり「決まった形」を「シャープに滞りなく」踊るこのアルゼンチン・タンゴ(凄いスポーツ感覚もあり)...
恐らく、こういうのって日本人が好きになる(美学的な)要素がたっぷり詰まっている気がする。
ああ、本当に美しく官能的、本当に素敵な文化と私は思う。
以上
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